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「子どもたちに民主主義を教えよう」工藤勇一, 苫野一徳 ー対立から合意を導く力を育む

子どもたちに民主主義を教えよう
この記事は約10分で読めます。
==帯より==
「多数決の問題点、わかりますか?」
学校改革の旗手・工藤勇一、気鋭の教育哲学者・苫野一徳
「誰一人 置き去りにしない社会って、こうやってつくるんだ!」
この経験と実感を持った子どもが社会に出ていくことが
日本を民主的に成熟した国へと成長させる。
学校は、必ず変えられる。教育の未来を描き直す必読の書!

〇地蔵

〇地蔵

なんか難しそうな本やな。

もっさん
もっさん

工藤さんの学校での実践を中心に対談形式で進むのでわかりやすいよ。

本書の概要

対立が起こった時こそ民主主義を学ぶチャンス。まず「みんながOKと言える最上位目標」を決めて、対話を通した合意形成を進めていくプロセスが大事。工藤さんの経験談を通して、苫野さんの哲学的な解説が入る。先生が叱り教え込まなければ子どもたちは育たないのか?多数決の問題点は?など今までの学校で「あたりまえ」とされていたことに切り込みます。知識としてしっかり落とし込めると同時に、実践できる!と思わせてくれる一冊です。

 

●内容の要約

序:学校は何のために存在するかーいま本当に身につけてほしい力

工藤勇一:本来学校では、「自分たちで社会を作るんだ!」という民主主義に求められる当事者意識を育てなければいけないはずが、いまの日本の教育では真逆のことをしている。自立させない、違いをみとめない、対話の機会を与えない、対立を理性ではなく「思いやり」「愛」で解決しようとする。
以下2章~3章は対談形式。

1章:民主主義の土台としての学校ー全員が合意できる「最上位目標」を探せ

多数決では、少数派を切り捨ててしまう。少数派を多数決に従わせることになるので、我慢や対立が生まれる。互いの「最上位目標」を決め、対話を通した合意形成によって、誰一人取り残さない社会にすることが望ましい。その実践方法を工藤先生の経験を交えて説明。
その他のキーワード:自由の相互承認、一般意思、OECDラーニング・コンパス

2章:日本の学校の大問題ー民主主義を妨げる6つの課題

日本の学校における6つの問題として、
・心の教育:「思いやり」で対立は解消しない
・いじめ問題:「いじめ撲滅」の発想がいじめを増やす
・教員養成:同質性と従順さの要求
・理不尽な校則:「ルールは守るもの」とだけ教える学校教育
・学級運営:「学級王国」の問題
・教師の力:先生の技量を上げれば問題は解決するという幻想

3章:学校は「対話」で変わるー教育現場でいますぐできる哲学と実践

成熟した市民を育てるために本当に重要なのが「当事者意識」。まずは先生の当事者意識を変えていくこと。先生たち自身が矛盾に気づき、何が最上位目的だったかを確認し、動くこと。そのプロセスがわかりやすく説明されている。現場の先生のボトムアップ方式から少しずつ変えていく方法も丁寧に説明されているので、役職の無い先生のヒントにもなります。

終章:教育を哲学することの意味ー「よい教育」をつくるための誘い

苫野一徳:本書の対談で語った「民主主義の土台としての学校」づくりの大切さについて哲学的観点からまとめる。

もっさんみいこの感想

私自身も「哲学」とか「民主主義」というお堅い言葉を毛嫌いしてきました。その言葉があるだけで難しい、理解不可能なイメージがありました。本書は対談形式で、工藤さんの実践を苫野さんが哲学的解釈で補足することでとてもわかりやすく、現場に落とし込みやすい内容となっています。本書を読んで、子どもに関わるものとして「哲学」「民主主義」をちゃんと知ることの重要性と実践方法がわかりました。

こんな人におすすめ

「哲学」「民主主義」と言われると逃げたくなる人

「〇〇するべき」「〇〇してはダメ」が多い教育現場の人

小中学校で実際に働いている人(幼稚園でも応用できる考え方です)

この本から学べること

「哲学」「民主主義」は教育や人間社会において本当に大切な言葉だとわかります。そして、その社会をどう運営していくか、子どもだからこそ失敗しながらも学べるチャンスがたくさんあります。その実践の場を子どもたちに体験してもらうためには、まず大人が理解しないといけません。言葉の難しさだけで避けている人にこそ読んでもらいたい本です。

子どもの間で起こる対立や全体での意思決定の場において、多数決で少数派を切り捨てるのではなく、「最上位目標」を決め、対話を通した合意形成によって、誰一人取り残さない社会を作ることが可能。