好きな色が作れないから、絵の具嫌いやー。
1回色の混ぜ方をやってみれば、簡単だよ!好きな色を作れるようになったら好きな絵が描けるようになる!
絵具の色混ぜは難しいです。12色の絵具セット、そのままの色の方がきれいだし、混ぜ方わからないから、絵の具から色を出してそのまま塗ってしまえば…。と思ってしまいそうですが、ちょっと待って。絵の具の色混ぜの基本をマスターすれば、絵を描く楽しさがぐーんとアップしますよ!
□色混ぜの基本がわかれば、絵を描くハードルが下がる!
□絵の具の色は赤・青・黄色3色+白でほとんどの色が作れます!
□絵本作家 長谷川義史さんみたいに描ける!描くことに自信が持てる!
□所要時間)色相環1時間、絵本の模写1時間(ちょっと忙し目で)
赤・青・黄色3色+白、黒で描く作家さん
絵本作家や、画家と言われる人たちの中には、絵の具の色を絞って描かれる作家さんも多く存在します。有名な長谷川義史さんもその一人。彼の絵本は、アクリル絵の具で描かれるものが多く、ほとんどが赤(1色)・青(2色)・黄色(1色)と白、真っ黒を表現するときに使う墨汁で描かれるそうです。
長谷川さんの絵本は、たくさんの人物やキャラクターが出てきて、とってもカラフルに見えるので、いろんな色の絵具を使っているのかと思いきや、その少ない色の混色で表現されているという事。ご本人にお会いした時も「そうやでー」とおっしゃっていたので、間違えないです(笑)。
もちろん、全員が少ない色で表現する作家さんばかりではなく、それぞれのテイストに合わせて絵の具を使い分けられればそれでよいのですが、色混ぜの基本を学ぶと表現豊かになるのは間違えありません。
絵本作家61人のアトリエと道具 出版社: 玄光社 絵本ナビで見る
絵本作家はもちろん、画家、イラストレーターさんを目指す方にもおススメです。人気作家さんのアトリエや画材の写真がたくさん掲載されていて、インタビューも盛りだくさん。読み応えありです。
もっさんみいこ工作絵画教室で色混ぜの授業を行うは、この話をはじめにしています。ほとんどの子ども達が知っている大人気絵本作家、長谷川義史さんが使う色の少なさ、あの表現力を知っているだけに驚きと興味を持ってくれるからです。
そして、最後に、長谷川義史さんの絵本を模写します。自分で描けた喜びを味わってもらえるからです。
色相環を自分で作る
まずは、赤・青・黄色+白で色混ぜを。
- 赤、青、黄、白の4色の水彩絵の具
- 絵具筆(大筆)
- 水、水バケツ
- 筆拭きタオル
- 画用紙(八つ切り、もしくはA3)1人2枚
- コンパス・えんぴつ(準備する大人が使用)
- 肉トレー大き目(模写時のパレット)
- 絵本「じゃがいもポテトくん」
準備
画用紙に丸を二重に書きます。内側の輪っかをだいたい三等分に区切ったところに〇をつけ、「あか」「あお」「きいろ」の文字を書きます。そして、その間に〇を描いておきます(写真参考)。混色の場所なので薄く簡単な印付けでOK。(内側の丸だけでもいいです。最近面倒くさいのでそうしてます。)
3色の絵具を出す。
時間や人数にもよりますが、できれば、自分で出した方がどこに何を出したかを覚えることができます。
足りなくなったら、後で追加すればよいので、とりあえずどこに何色を置いたかを覚えておいてもらいます。
赤と青を混ぜると
色混ぜを開始していきます。最初は一つずつ順番に。色混ぜの仕組みを理解することができれば、あとで思い出すことができるので、重要ポイントです。声掛けは楽しく、「なるほど!」と思ってもらえると良いですね。ポイントは、面倒くさいですが、筆を一回ずつ洗う事。
まず、赤い絵の具を筆にとって、赤と青の真ん中の輪っかに置きます。
できたら、筆を一度きれいに洗いましょう。
筆を洗ったら、真ん中に置いた赤の絵具と同じ量の青い絵の具を筆につけて、真ん中の赤と混ぜます。
赤と青の真ん中に、赤と青と同じ量を混ぜたら紫色ができました!まず赤と青を始めるのがわかりやすいです。後から説明しますが黄色は少し弱いので、同じ量ではなくなるので。
紫と赤の間はどうやって作る?
赤と青で色を作る事を伝えたいので、先ほど作った紫は触りません。もう一度、赤と青で色を作ります。その時の声掛けはこんな感じ。
次は、さっき作った紫と赤の間を作るよ!
赤は、近いのでたくさん色を持っていけます。
赤い絵の具を置いたら一度筆を洗います。
青は、遠いのでちょっとしか色を持っていけません。
青は遠いところまで色を持っていくの疲れちゃうから嫌だってさ( ´艸`)。
さっき持って行った赤より少ない量の青を混ぜましょう。
赤紫ができます。絵具の量によるので、それぞれ違う赤紫ができますが、最初に作った紫より赤ければOKです。最初の紫より青ければ、赤を足します。絵具の量の微調整の練習ですね。
紫と青の間は?
先ほどは赤に近かったけど、今度は青に近い場所です。
こんどは、青が近いので青がたくさん持っていけます。
絵の具を置いたら、筆を洗ってね。
今度は赤が少ししか持ってこれません。遠いからね。
混ぜると青紫になります。
青と黄色、黄色と赤も同じように
青と黄色、黄色と赤も同じように進めていきます。なかなか根気のいる作業なので、集中力が切れないように、子ども達を応援しながら色混ぜの面白さを伝えます。
めんどくさいが、ここが一番の頑張りどころ!これを抜けると後は楽しいぞ!!
注意なのは、黄色と赤の間です。黄色はどうしても弱く、特に赤と混ぜると赤が勝ってしまいます。そこはちょっと調整が必要なので、できた色を見ながら各自調整してもらいます。赤と青、青と黄色の間を作成しながら、微調整の感覚を覚えているので、アドバイスとして「黄色は弱い」と伝えてもわかってもらいやすいです。
黄色はちょっと弱い色なので、ちょっと多めに持っていきまーす!
色の輪っかができた!すごいぞ!すごいぞ!虹色だね!
ここで、だいぶ子どもたちは疲れていますが、できたきれいな色の輪っかを見ると、達成感を感じてもらえるはずです。拍手です!
💩うんこ色を作ります。
つぎはー--、💩うんこ色作るよー!
まぁ、いわゆる茶色なのですが、色づくりに疲れてしまった子ども達のやる気を取り戻すにはこれくらいの言葉を使った方が、やる気が戻ってくるように思います(笑)。「わー!きゃー!」言います。「大人がうんことか言うなー!」と文句言われます笑。盛り上がります(笑)。
とはいえ、茶色は世の中にたくさん使われている色です。しかもすべての茶色が違う茶色なのです。木の種類によっても違うし、住宅で言えば家具やカゴ、ダンボールも茶色です。髪や目、肌の色、服装、動物だって茶色を使う事はとても多いです。茶色に白を混ぜたアレンジ色も大活躍です。茶色って、とても重要な色なのです。
そんな説明をすると、キャーキャー嫌がっている子どもも納得して作業に進んでくれます(笑)。
今作ったど真ん中に赤・青・黄色の3色を同じ量混ぜてみます。
なかなか茶色にならないのが現状ですが、その周りに少しずつ3色の量を変えて混ぜながら、何度もチャレンジしていきます。
赤が強い?青が強い?、緑になった、何が足りない?
そんな事を検証しながらいろんな茶色にチャレンジしてみてください。
配合が少し違うだけで違う茶色が生まれます。
3色で茶色を作るのは結構難しい作業です。それぞれのペースに合わせて1個作れたらOK、3個作れたらOK、など気持ちが落ちない程度で頑張ってもらいましょう。
健康な時の💩、これはちょっと、ピーピーの時の、、、なんて笑いながらでOK。楽しもうぜ!
ここで、個人差が生まれます。1つの茶色に苦戦する子、茶色作りに慣れて終わってしまった子、苦戦する子を待ってもらう間に、早い子にはこんな問題をだしても良いかもしれません。
3色で色づくりチャレンジ!
予め3色で色混ぜ見本シートを作っておきます。同じ色を作っている間に違う色が生まれるので、いろんな色を作る練習になります。余裕がある子はどんどんチャレンジしてもらいましょう。
3色でこれに似た色作れるかな?
次は、きれいな色を作るよ!
もう、💩色ばっかり嫌になってきた。
オッケイ!次は好きな子が多い、かわいい系の色を作るよ!
ここで初めて白の絵具を用意します。
適当に画用紙の横に、白い絵の具をぶちゅっと出します。ちょっと多めです。そこから最初に作った色の輪の外側に白の絵具を置いていきます。
べちゃべちゃーっとどんどん白を置いていきましょ。
白い絵の具が見にくいので、赤い輪で囲んでいます(実際には囲まなくてOKです)。
最初に作った色の輪は、絵の具が乾いてしまっていますが、それで大丈夫です。
キレイに洗った筆にきれいな水を付けて、最初に作った色(まずは赤)をこすると絵の具が溶けて筆につきます。そのまま外側にある白と混ぜると、
ピンク色になります。
このようにきれいに筆を洗って、きれいな水を筆につけて中の色をこすって取る→外側の白に混ぜる。を一周繰り返します。
面倒くさいけど、いちいちきれいに筆を洗うと仕上がりがきれいだよ!とはいえ、ちょっとくらい混ざってもOK!OK!もっさんも面倒くさがりだから混ざっちゃうことよくある(笑)。
1周できると、きれいなパステル系の色の輪が最初の色の輪の外側にできます。この辺で、「この色、好き」というのが出てきます。自分の好きな色が作れるようになったら嬉しいですよね。しかも3色から色を作れるようになったので、これだけでレベルがかなりアップしています。
これまでもっさんみいこ工作絵画教室で行ってきたこの授業では、みんなヘトヘトに疲れますが、かなり自信をもって達成感を感じているのがわかります。その顔が大好きでたまりません。
↓こちらが子どもたちの色相環。集中力のある子もない子も一生懸命に作った色相環。色の仕組みがわかれば良いので、色の輪の大きさなんて細かく言いません。何と何を混ぜれば何色になったのか実体験として残ればそれでOKなのです。
みんなが終わるのを待っている間に
先ほどの時間調整で使ったシートと同じように、赤・青・黄色に白を足して色見本を作っておきます。茶色に白を混ぜる色見本も作っておくとかなり技術力がアップします。ですが、もし時間があるなら、次に説明する絵本の模写がとても楽しくて自信につながっておススメです。
長谷川義史さんの絵本を模写しよう!
もっさんみいこ工作絵画教室では、色相環を作ったあと、長谷川義史さんの絵本「じゃがいもポテトくん」の1場面を模写します。
最初に紹介した、ほとんどの子どもが知っている大人気絵本作家の長谷川義史さん。大好きな絵本作家さんの絵を真似して描く、しかも同じ絵の具の色数で!子どもたちにとって自信につながるチャレンジです。
長谷川さんの絵は、味が合って本当に素敵なのですが、本物そっくりなわけじゃないんです。上手に描くことイコール本物そっくりに描くことではないという事がとてもよくわかります。本物そっくりじゃないからこそ、人の心を動かす、楽しいと思わせる本当に奥深い絵を描かれるのが長谷川義史さんです。本当はものすごくレベルが高い簡単にまねできる絵ではないのですが、ご本人曰く「子どもが描けそうな絵、描くの得意やねん(笑)」ということで毎回模写させてもらっています。
じゃがいもポテトくん 絵本 作・絵: 長谷川 義史 出版社: 小学館 絵本ナビを見る
ストーリーは、ちょっとびっくりする悲しい話⁉⁉でも最後はほっこりな楽しいじゃがいもストーリーです。
ジャガイモの茶色、人参のオレンジ、葉っぱの緑、自分の好きな色でかごを塗ると色相環の復習にはとてもよい題材です。
声掛けと模写の進め方のヒント
いきなり描いてといっても、何から手をつけて良いか、子ども達にはわかりません。
まずジャガイモのを色を作ります。
先ほど制作した色相環ではなく、肉トレーのパレットなどに赤・青・黄色・白の4色を出します。(黒は最後まで出しません)。絵本にあるジャガイモ色を見本にしていいですし、そもそもジャガイモ自体いろんな色をしているはず。細かいことは気にせずに、各々の「これじゃがいも色」が作れればOKです。
ジャガイモの色が作れたら、ウニウニっと描きます。
色の練習なので、絵本と同じ形に描く必要はありません。そもそもジャガイモの形はいろいろだし、長谷川さんご自身、自由に描いたジャガイモなはず。大きい筆で、ウニウニっと描いたらOK!時間をかけません。
じゃがいも描くよー!ざざざーぐちゃぐちゃえい!タンコブもつけておこう!べちゃ!
↑本当にこれを言いながらこの言葉の時間内に見本を描きます。それを子どもたちに真似してもらいます。もちろんプロの長谷川さんの一筆入魂の絵に尊敬はありますが、それよりも子ども達が恐れず描くこと、思いっきり描くことそれを促すために、あえて大胆に細かいことは気にせず、「これでいいんだよ!」を伝えています。
たまねぎ
玉ねぎの色を作って描きます。一から作ってもいいし、難しいようだったらヒントとしてジャガイモに白を混ぜるとそれっぽい色も作れます。色づくりの練習なので、色々試せる人はチャレンジ。疲れてしまう子はほどほどに。
にんじんと葉っぱ
オレンジと緑は最初の色の輪からなので、比較的簡単です。自分が作った色の輪を辞書がわりに、気に入った色が作れたら描きます。
カゴ
この色は絵本と同じじゃなくてOK!好きな色を作ってもらいます。せっかく好きな色の作り方がわかったのだから、ここでもう一度作って覚えてほしいです。
目を入れる
ここで初めて黒の絵の具を出します。3色で黒っぽい色を作ることをチャレンジするのもおもしろいですよ。
ジャガイモを一番最初に描くのは目を入れるため。乾いていてほしいから。。。とはいえ、まだまだ水と絵の具の量を操るのが難しい子ども達。乾いていなければ、ドライヤーで乾かすのもありです。
余裕があれば線や影。
余裕がありそうだったら、カゴや野菜の線、影などを入れても良いでしょう。
絵本作家長谷川義史さんに見てもらいました
大阪でギャラリーを時々されている長谷川義史さん。何度かお会いしたときに、子どもたちのじゃがいもポテトくんの絵を見ていただきました。
子どもたちの色使いの挑戦が見て取れるその絵たちに、とても喜んでくださいました。
「じゃがいもの色って、ほんまに難しいんや~。めっちゃ大変やったもん。こどもたちすごいなぁ~。めっちゃいい色作れてる」
とのこと。
嬉しい限りです。今度行ったら、一緒に証拠写真撮ってもらおう♪♪
絵を描くには、技を身に着ければ表現の幅が広がります。表現の自由度が上がるのです。本物そっくりに描く技術ではなく、まずは絵の具の使い方、色の混ぜ方やにじませ方、そういった基本的な技を学ぶだけで、絵を描くことのハードルは下がり、「本物そっくりに描けない=絵心がない」と言う呪いから解き放たれると思います。
苦手な子が自信をもって描けるように
絵を描くことや色混ぜに苦手意識があった子、色混ぜの基本と長谷川さんの絵を真似したことで、自分で自信をもって絵を描けるようになりました。「オレ、色づくりの達人になったから、3色で描いてみるわ!」と夏休みの宿題のポスターを自信を持って描きました。未来がテーマだったので、背負ったジェット?で空が飛べるそうです^^。電車や木の上を飛んでいて、素敵な作品です。
【絵本】色混ぜを使った絵本
色混ぜが楽しい絵本はたくさんあります。色混ぜの導入にどうぞ。
いろいろばあ
「いろいろ ばあ」作: 新井 洋行 出版社: えほんの杜 絵本ナビで見る
2~3歳が色を覚えるのに、かわいくてシンプルな絵本なのでとても人気です。今回は、ある程度大きくなった小学生程度の子どもに読むので、「そんなん知ってるわー」となります。最初の方は高速で読んで(笑)、2色の色混ぜのページをクイズにすると「えーっと?」となる子も多いはず。(読み聞かせ1分)
「いろいろいろのほん 」 作: エルヴェ・テュレ 訳: 谷川 俊太郎 出版社: ポプラ社 いろいろいろのほん 絵本 作: エルヴェ・テュレ 訳: 谷川 俊太郎 出版社: ポプラ社 絵本ナビで見る
絵本の上で、リアルな絵の具の色混ぜができる感覚を味わえる絵本です。指で他の色と混ぜたり、ページを閉じて2つの色をべちゃっと混ぜたり。 楽しい色遊びから、色混ぜの基本がわかる絵本です。この本を読んじゃうと筆じゃなくて手のひらで色混ぜしたくなっちゃうけどね(笑)
「あおくんときいろちゃん 」 作: レオ・レオニ 訳: 藤田 圭雄 出版社: 至光社 絵本ナビで見る
お話は色混ぜとは違うので、参考程度に。あおちゃんときいろちゃんは仲良しすぎて色が混ざって緑になっちゃうお話です。大人にはただのちぎった丸にしか見えないかもしれませんが、想像力のある子どもには飛んだり走ったりする子どもにも見える。大ベストセラーの絵本です。(2歳から)