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【コラム】ピカソって、よくわからん!それでいいと思います。

ピカソってヘンテコ
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〇地蔵
〇地蔵

ピカソの絵ってヘンテコだよね。

有名な絵画と言うと、大人でも苦手意識の高い人が多いかもしれませんね。格式が高く感じて、とっつきにくいし、何をどう見たらよいのかわからない。素晴らしいといわれているのは知っているけど、良さがよくわからない。

だからって、「芸術ってよくわからない+絵心がない=嫌い」という方程式になるのは、もったいないと思うんです。

かといって、「美しい」「素敵だ!」と思わないのに、いかにも知っている風に「素晴らしい作品だ!」なんて嘘つかなくても良い。「変なの~」って思ったら「変なの~」って言ってもいい。芸術鑑賞は、自由に感じることなんですから。

ピカソの絵ってヘンテコだよね。

もっさんみいこ工作絵画教室では、毎年秋に「芸術の秋」企画を行います。有名な画家の絵を見て模写します。この年は、ピカソの「花売り」という絵画を模写することにしました。

ピカソ花売り

ピカソの「花売り」(1937年)を、「今日はこれを描くよー」と生徒に言うと、予想通り、「キモい、変なの、意味わからん、こんなん描きたくな~い!、絶対に描かん!わーきゃーわーきゃー、、、。」です。
うちの生徒たちは素直なので(笑)。
中には、そのヘンテコさを面白いと思い「僕、嫌いじゃないよー」っていう子もいます。それぞれの反応。それで良いと思うんです。絶対に否定はしません。

模写は、あまりにもゴチャゴチャした絵なので、ある程度順番に、「この辺に顔を書きます、鼻、口…、次に帽子、、、」クレパスで線(黒い部分)を書いてもらって、水彩絵の具で彩色。はじき絵で描きました。

ピカソ花売り模写


この「花売り」という絵は、絵日記のように説明文をつけるなら
「夏に妻と友人とで、南フランスに旅行に行きました。日差しが強くてキラキラして美しかったので、妻を花売りの娘さんのように描いてみました。」
です。
だから、この絵を描いた気分は、きっとバカンスを楽しんでいる途中のウキウキした気分なんだと思います。

ピカソ花売り模写

でも、どれだけウキウキしてたって、こっち側のほっぺたに目があるわけはありません。どこの形もやっぱりいびつです。ピカソ自体が本物そっくりに描いていない事は一目瞭然ですよね。なので、子ども達には、ピカソと全く同じ線を描かなくて良しと伝えます。ピカソがなぜこんなヘンテコな線を引いたのかを知るには、同じ線を描くのではなく、面白がってヘンテコな線を引いてみること。

本物そっくりに描けなくても、絵は評価されるのだという事を、ピカソ気分で描くことで体験できるのです。

ピカソ花売り模写

色だってヘンテコです。いくら太陽の日差しがキラキラしていたとしても、妻の顔は、青や緑にはならないでしょう。「本物そっくり」を求めているなら、この絵を見た妻はきっと怒ったでしょう(笑)。

でも、そうじゃないのです。キラキラした夏の日差しの中、楽しくて、見えるそのままの本物そっくりの色ではなく心に浮かんだ「面白い!楽しい!」気分をそのままをピカソは描いたのでしょう。

ピカソ花売り模写

子ども達には、好きな色に塗ってもらいました。だってピカソの色も自由だから。ウキウキした色で塗っているのだから。

ピカソ花売り模写

ピカソのバカンス気分を想像して描く子

ピカソ花売り模写

自分の好きな色、かわいいと思う色で仕上げたいと思った子

ピカソ花売り模写

実験的に、イメージとは違う色で仕上げたかった子

ピカソ花売り模写

ピカソ花売り模写

みんなそれぞれの面白いと思った色を作って仕上げています。きっと、ピカソも本物そっくりの色よりも、色の面白さを感じて描いたのではないかなぁと思います。

中には、どうしてもこの絵が好きになれなくて、描くことをとっても嫌がっていた子がいました。この絵が気に入らなかったんです。だけど、気に入らないからこそ気になる。おうちに帰ってから、「私が描いた方がかわいくなったよ!」とこんな写真を送ってくれました。とってもかわいいですし、ピカソを描きなおすなんて最高じゃないですか!裸の王様の裸を見破るこどもみたいです(笑)。

ピカソを描きなおした。

有名絵画だからと言って、意味が理解できないとダメなわけではないし、素晴らしいと思わないなんて自分はレベルの低い人間なんだろうか、なんて絶対に思わなくていいと思うんです。
「裸の王様」に出てくる大人のように見えてない服を「素晴らしい」と褒めたたえる必要なんてないのですから。

ピカソの魅力ってなんなんだろうね?

でも、やっぱり有名なのには、何か訳があるんでしょう。
キュビズムと言われるこのパーツがでたらめのヘンテコな絵、なんでこんな風に描いたんだろう?なんでこの色を塗ったんだろう?
調べれば色々解説はのってますけど、本当のところは描いたピカソにしかわからない。

ゲルニカ

「ゲルニカ」(1937年)で有名なグチャグチャ絵(キュビズム)ですが、実は戦争の悲惨さを伝えたいだけにグチャグチャにしたのではなく、ピカソはゲルニカ以前にこのような描き方で描いていました。その描き方を用いて戦争の悲惨さを描いたのがゲルニカです。

ピカソは若い頃から天才画家と言われるほどの絵の才能がありました(下の女性画)。絵が下手だから、こんな絵を描いているわけではないんです。画家の道を進んだピカソは、ヨーロッパの伝統的な絵画(宗教画や王室画のようにリアルに描く絵画)ではない新しい描き方を模索していました。その結果発見したのがキュビズムという描き方だったのだそうです。

ピカソの絵 ピカソの絵

でも、やっぱりどう見たってキュビズムで描かれた絵は、ヘンテコです。だから面白い。だからピカソとも言えのかもしれませんね。
芸術家というのは、自分らしい、誰もやってない、面白いものを追求しちゃうもんなんでしょうか。

ピカソの作品集やピカソについて書かれている絵本も用意しました。ヘンテコなキュビズムで描かれた絵、めちゃめちゃ本物そっくりに描かれている絵、色んな絵を描くピカソ。子ども達は、とても興味を持ってペラペラとページをめくって見ていました。

ピカソ花売り模写 

ピカソの絵本

昨年行ったモネの時もそうですが、「変なの~」とか言ってたわりには、後日ピカソやモネの作品を見たよとか、図書館で借りたよとか、テレビでやってたよとか報告してくれます。やっぱり気になってしまうようです。そういうところが有名画家の芸術力なのでしょうか。

モネのお話はこちらで書いてます。

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