自由工作の醍醐味は、どれだけ楽しいか!
楽しんで作るからこそ、そこに経験と学びが生まれるんだよ!
親の頭を悩ます自由工作の宿題。「大変だ~!嫌だ~!」と思ってしまうのは、きっとどうやっていいかわからないからだと思います。まずは、こちらの記事を読んでみてください。自由工作で大切なのは、見栄えや完成度ではなくて、子どもが何を想像して、試行錯誤したか、そこから何を学んだか、だと思うんです。
□自由工作の材料の集め方
□自由工作の進め方
□どんなものが作れるか
とはいえ、何から始めて良いのか?
まずは、材料から集めましょう。
何を作るか考える事からはじめるのもありですが、子どもの想像力は壮大なので、それに見合った材料を探すのは大変かもしれません(笑)。まずは、家にあるもので工作に使えそうなものをかき集めましょう。ポイントは、「土台になるもの」と「飾りになるもの」、「切る」「描く」「貼る」の道具です。
土台になるもの
自由工作を始めるにあたって、まずは本体になるものがあると進めやすいです。例えば、箱(ダンボール箱、お菓子の箱、プラスチックや木の空き箱)、ペットボトル、空き缶・瓶、肉トレー、卵のパック、食品パック、紙皿・紙コップ、牛乳パック、紙袋、木材、かまぼこ板、等々。100均ショップに行けば売っていますが、家の中を見渡せば、1週間もあればずいぶん集まるのではないでしょうか?
土台になる素材の中から、何が作れるか?と考えることも多いので、たくさんある方が想像力がわきやすいと思います。数種類をくっつけて作ることもできます。使わない素材も出てきますが、廃材だったら、捨ててしまえばいいだけなので気が楽ですね。
飾りになるもの
土台に貼り付けていくものです。土台になる材料の中にも、そのまま貼り付けたり、ハサミで切って貼り付けたり色んな役割を果たしてくれる素材もありますので、土台にならなくてもすぐに捨ててしまわずに、作品が完成するまでしばらく置いておくといいです。
他におうちで集められる素材としては、プレゼントを包んでいた包装紙、リボン、チラシ、ティッシュ、端布(着なくなった服など)、毛糸、使わないボタン、ストロー、など。
キラキラしたものや、かわいいものであれば、100均ショップに色々売ってますので、子どもと一緒に探しに行ってもいいですね。
全部を揃える必要はありませんが、飾りになる素材としては下記があげられます。
布、毛糸、紐、モール、リボン、ボタン、スパンコール、ポンポン、折り紙、千代紙、包装紙、チラシ、木の実、マスキングテープ、割りばし、スプーンやフォーク(使い捨て)、等々。
「切る」道具
難しい道具を使う必要はありません。上述した材料であれば、ハサミがあればだいたいの工作はできます。場合によっては、カッターナイフやダンボールカッター(ダイソーで売ってる)を使用しても学びになります。
最近は、刃物を使う機会が激減していますので、ハサミといえど上手に使えない子どもは多いです。刃物はどうやれば切ることができるのか?刃がどのようにできているのか?を知る機会になればいいなぁと思います。
●ハサミ
当たり前ですが刃を閉じる時に切れます。よく見かけるのが、切れないからと言って、刃を閉じた状態で力を入れている子。閉じたまま力を入れても切れるわけがないのですが、「刃が閉じる時に切る」というのを知らない子は本当に多いです。(冗談のように思いますが、多いんです)
●カッターナイフ
危険な持ち方の子どもが本当に多い。使ったことがないのと、刃物自体の仕組みを知る機会がなかったのだと思います。切れる部分を上にして持っている子が、びっくりするくらい多いです。私の実感からすると5人に1~2人は、こんな恐ろしい持ち方をします。そういう子には、刃物をじっくり見てもらって、刃の切れる部分が色が変わっている事、その面全体が尖っていて細くなっていることで切ることができると伝えます。それは包丁やナイフなど形を変えても同じです。
●ダンボールカッター
カッターナイフのように切ろうとする子が多いです。刃物の刃の部分をじっくり観察すると、カッターのようにスーッと引っ張ったら切れる物ではないとわかると思うのですが、刃物自体になじみがないので、仕方ないですね。ダンボールカッターは、のこぎりのように前後ろにギコギコさせないとダンボールを切ることはできません。ですので、ダンボールを床に置いてカッターのように使うことはできないのです。ダンボールは寝かせるのではなく、立てて刃物をギコギコします。こちらも、刃をよく見てもらって、実演しながら説明します。
「描く」道具
おうちにあるもので大丈夫です。気を付ける点としては、プラスチック素材に描けるかそうでないかです。紙素材で工作するのであれば、色鉛筆や水性ペン、クーピー、水性えのぐ(小学校で使う絵の具)でも大丈夫なのですが、肉トレーやパック類などのプラスチック素材に描きたい場合は、油性ペン(マッキーなど)、クレパス(油の多いクレヨンは色がつかない事もあります)、ポンキー、アクリル絵の具(透明)・アクリルガッシュ絵の具(不透明)←100均に売ってます、などが便利です。
絵の具を出すと汚れてしまい、片付けも大変だと思いますので、プラスチック素材に描く場合はクレパスやポンキーが便利です。ポンキーは新しい画材で、クーピーに似ていて鉛筆型なのですが、発色が良く、折れにくく、しかもプラスチックやガラス面にも描ける画期的な画材です。1セット持っておくと重宝します。
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「貼る」道具
接着剤、テープ類です。
●接着剤
のり(水のり、スティックのり、フエキのり)…紙素材を貼り付ける時に使います。
木工用ボンド…紙素材はもちろん、木材や毛糸、布などに使います。
Gクリア…プラスチック素材や重さのあるものは、Gクリアが便利です。乾燥スピードも速く工作時間も短縮できます。瞬間接着剤ではないので、危険ではありません。ネチャネチャするので扱いは面倒ですが、手を洗えば取れるのでとても便利な接着剤です。ホームセンターや100均に売ってます。
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●テープ類
セロテープ…使い慣れているとは思うのですが、中には慣れていない子もいて、テープカッターがうまく使えない場合も。前に引っ張り出すのではなく、テープカッターにひっかけて、下に引っ張るように伝えてください。
マスキングテープ、カラービニールテープ…色や柄があると飾り・着色にもなります。
ガムテープ…粘着力があるので、上記のテープでは弱い時に使います。カラフルなものもありますので、ホームセンターや100均でさがしてみても良いですね。
材料を集めたら、大人の仕事はほとんど終わり
少し乱暴かもしれませんが、材料と道具を揃えておけば、子ども達は作ります。確かに、親がいると甘えてしまいますし、親もついつい口や手が出てしまう。その関係は、切れない関係なのかもしれませんが。。。子どもの成長を考えると、親が口や手を出してしまうくらいなら、その場にいない・見ない方がいいくらいです(笑)。
刃物も、使い方さえきちんと伝えれば、使い慣れるまでは自分で何度もやるしかないんです。親がやってしまっては、子どもの成長はありません。
忍耐、、、。だけです。
とはいえ、なかなかやろうとしない、アイデアがわかないという場合は、子どもと一緒に下の「みんなの作品集」を見てください。もっさんみいこ工作絵画教室で子ども達が作った作品です。これを見てインスピレーションがわけば、あとは作るだけ。そして、親は、子どもが作ったもの、作ろうとしたものを認めてあげるだけです。
大人にとって理解できない作品でも、子どもにとっては想像力や工夫が詰まった作品です。偉大なアーティストの作品の意味が分からないと同じくらい、子どもの作品の意味を読み取ることは難しいです。意味を知りたければ、子どもにインタビューしてもいいかもしれませんね。偉大な作家と同じように、見た目だけではわからないこだわりをたくさん教えてくれます。子どもの想像力・創造力は素晴らしいです。そこに良し悪しの評価は必要ないです。
自由工作の考え方は下記記事にも書いていますので、ぜひ参考になさってください。
みんなの作品集
作品と、子ども達の様子もセットでどうぞ。私(大人)がやることは、傍らにいて子ども達の制作を観察して、時々、子ども達の説明を聞いて「なるほど!そういうことなのか!」「面白いアイデア!」「色選びがいいね!」なんて言ってるだけです(笑)。
↓発砲トレー(お椀型)を繋げて、電車。ボタンで顔を貼ってみる、繋げるって面白いと思い始めてタワーみたいなものもできました。
↓食品トレーを繋げて、切って、カメができました。お弁当のパックが口に見えたのでエサもつくりました。
↓お弁当パックを見つけて、最初はお弁当を作って毛糸の焼きそば、マグロと卵のお寿司を作っていたけれど、細かく切った黄色い画用紙がポテトに見えてきて…。マクドナルドのポテト。高額の値段をつければ面白いかも!発想力が連鎖していきました。
↓もずくのカップが顔に見えて、平たいプリンのカップが帽子に見えて、そしたら胴体も作りたくなりました。飾りをいっぱいつけたらお気に入りの人形の出来上がり。
↓焼肉のシールを見つけたので、お肉のパック。皆が作っているお寿司も作りたくなってお寿司セット。ご飯は、プチプチシートで制作。
↓こちらは車が作りたい!から入りました。気に入った箱がなかなか見つかりませんでしたが、組み合わせを色々考えて作りました。穴を空ければ貯金箱♪
↓黄色いスポンジと、貝殻のパーツから海を連想。プチプチシートに油性マジックで水色に塗って水を表現。それをパックに閉じ込めました。パックもデコレーションしたらきれいだと思ってカラフルに。
↓「貯金箱を作らなきゃ」からの材料探し。筒に穴を空けて、カラフルなテープでデコレーションしました。チップスターの空き箱です。下には紙コップで末広がりに足がついています。
↓「貯金箱を作らなきゃ」から入って、ペットボトルをどうしようかと考えていました。赤いテープを貼ったらポストみたい。郵便ポストのマークもテープで作りました。
↓シンプルですが、できあがるまでうんと考えています。赤いテープを貼って足のところに切り込みがあるのは、作者なりのアイデアなのです。
↓亀2号。友達が作っている亀が羨ましくて制作。人の良いところを真似することも大切な事。真似されることを嫌がる子もいますが、「素敵だからまねしたいんだよ!」と伝えてあげてください。
↓プラ皿をひっくり返した模様が富士山のように見えたので。シンプルな作りですが、油性ペンで、丁寧に色を塗って製作。下の方が濃い青ってセンスだと思いませんか。穴を空ければ貯金箱♪
↓こちらもプラ皿の作品。上下に貼り合わせてUFOのような形に。模様を活かしてカラフルに色を塗るのもセンスです。
↓発泡スチロールのボールを発見して雪だるま。ボタンやストロー、色んな素材をパーツに見立てるのも力です。
↓形の違う白いトレー(肉トレー、豆腐トレー大小)を重ねたらケーキみたいに見える→デコレーションすればオシャレなキラキラケーキに!
↓ちょっと豪華な食品トレーがあれば、お寿司セットが作りたくなるようです。ネットでお寿司をググったら、自分の好きな卵以外にも色々あることが発見できます。リクエストすると作ってくれることも(笑)。いろんな素材を組み合わせて、それぞれのお寿司が完成。
↓「やきにく特急」というレストランのメニューだそうです。線路の上で運ばれてくるプレートランチ。唐揚げに見立てた紙をグチャグチャとしたもの、オレンジジュース、値段表までアイデア満載です。
↓段ボールの果物用緩衝材(果物1個ずつのまるいくぼみのあるやつ)で、球体をつくりまいした。球体を作るって難しいのに、何度も挑戦、試行錯誤していました。デコレーションして貯金箱に。(カービーは著作権上宿題には出せない事もあるので注意です)
↓なぜこのパーツを使おうと思ったのかはその子の発想力です。素材選びとひらめきから、かわいいお人形ができました。
↓こちらはくまさん。カップの上二つはお耳で、下に顔を描いてます。この素材で顔を作ったので立たせるのに苦戦しましたが、色んな素材を組み合わせて胴体も完成。
紙コップを上下に貼り付けてゆきだるま。頭の斜め上に帽子をつけたかったけど、苦戦。でもかわいい。
車を作りたい子は多いです。でも、動くタイヤ部分が思ってる以上に難しい。それを考えるだけで力尽きる子も多いのですが、それを考えただけ偉いと思います。
なんだか組み合わせたら、人形みたいになった!ひらめきだけで作るのも自由工作の醍醐味です。
カップに絵を描いてお弁当。うーんと考えた最初のアイデアです。苦手な子にとっては、パックをお弁当箱に見立てた、描いてみた、そういう第一歩が何よりも大事です。絶対に「それだけ?」なんて言わないでください。
果物の緩衝材を丸くしたらかわいかった。目をつけてみたらお人形になった。何か食べさせてあげたい。たこ焼きとゆで卵。。そんなふうに想像力が繋がって、次から次へと制作していきます。
発砲トレーにストローをこの向きで貼り付けるって結構大変なのわかりますか?トレーに刺すのか、テープで貼るのか、テープで貼るにしても簡単にはつかないですよ。ストローに全部毛糸を巻いていたり、トレーをきれいに黒に塗っていたり。「カブトムシなの?クワガタなの?」なんて質問をするよりも、ものすごくこだわって作っている事を大人は読み取らなきゃいけないんだと思います。
カラフルにに塗ってあるダンボールを見つけて、トレーの羽とストローをつけただけの虫。ではないんです。ストローの先についている目やセロテープがはがれやすい食品トレーをどうやって貼っているのか、そこの試行錯誤が見られる作品なのです。
折り紙で折っただけとか言わないで。おにいちゃん、おねえちゃんが作っているお寿司が作りたくて、一生懸命作りました。全く同じにまねをせず、何をご飯に見立てるか、何をネタに見立てるか探して作った事が素晴らしい!
何を作ろうか、うーんと悩んで困っていた子。とりあえずラップの芯を長くつなげてみたら、剣に見えた。2本作ったら二刀流になった。とりあえずやってみるから発想は生まれます。
剣を作れるなら、長い棒として国旗をつければおもしろいかも。発想が広がります。
子どもの発想は豊かです。大人の凝り固まった「こうあるべき」になんて当てはまるわけないんです。時間がかかるなら時間を確保すればいい。材料はお金をかける必要は全くない。
ゆっくりじっくり、楽しんでモノづくりできる環境を作ってあげるだけ。大人の仕事はそれだけなのだと思います。「何が作りたいの!?」「どうしたいの!?」「はやくやりなさい!」と焦らせてしまわないよう、大人の忍耐も大切ですね。